3月25日(水) 会場のStaples
Center。夜にそこに迎えに行くのはダメと言われた。迎えに行くのが嫌というのではなく、そこで迎えを待って立っているのがダメだと。昼間に見るとよく分からないけれど、どうも週末の夜に賑わうタイプの場所であるようだった。Staples
Centerはかなり大きな建物で、ロビーも広い。その割には出入り口が地味で「ここ?」という感じ。入り口でのチェックは厳しく、荷物はしっかり確認されるし、空港以外で金属探知機なんて初めて。あの手際の悪さでは、開場時間にはさぞ混雑しただろう。
チケットをチェックした人が「入って左」と教えてくれたけど、まず最初の「左」が間違っていた。「なんか違うよね?」「うん、違うよね」と言いつつ反対方向へ。その席に行くのはとても難しかった。そもそも入り口が違ったのだ。最初に入ったロビーからそこに行くには、途中でもう一度チケットチェックがあり、そこにいた女性の係員は子供に言うように「Down、Left、Up、Left」と教えてくれた。そこにあったエスカレーターでなければ、席があるフロアに行くことさえできないのであった。
シートは広くてクッションがまぁまぁ良い。死角もなく、かなり見やすい。リンクに近いのもいいけど、低い位置から見ると緊張してしまう。近くて高いのがいちばんいい。
織田君の滑走順は第9グループの1人目、41番。6分間練習はあっさりと終える。よほど調子がいいみたい。
SPはいつもアクセルがキマれば半分は終わったような気分になるけれど、その後のルッツのコンボに落とし穴が。ジャンプはきれいにキマったのに、チェックの最中にフェンスに接触し転倒。コロラドの四大陸といい、よくよくアメリカのフェンスには縁があるらしい
(^ ^; 衝撃ではあったものの、それほどガックシこなかったのは、ジャンプそのものを失敗したわけではなかったからかな。2月の四大陸のように本来のジャンプができないのを見るのは辛い。あとがとてもよかっただけにもったいなかったけれど、そこそこに点は出て7位。小塚君が5位。無良君も70点を超えて13位。この順位を維持しようなどと思ってくれるな。
男子SPが終わったあと、歩いて7thの方に戻った。すぐに来てもらうとなると道が混んで大変なので、Macy's
Plazaに行って時間を潰す。昼間に行ったときには手前の専門店までしか入らなかったので、今度はMacy'sに行こうとしたら、19時半で閉店だった。そんな時間に閉まったんじゃ、仕事帰りに寄るのも難しい。ロスの人っていつ買い物するの?
店は閉まったけど建物は開いているので、ロビーに座ってぼんやりと過ごす。ここの地下にもあったけれど、フィットネスクラブがとても多い。たいがいガラス張りになっていて、空いているマシンがないほどの盛況ぶりが見える。運動する人としない人、太っている人と痩せている人の区別がすごくハッキリしているような気がする。食べ物のカロリーと量を考えたら、うっかりしていると確実に膨らんでしまいそうだ。
ちょっと寂しくなってきたのと、間がもたなくなってきたので、スタバに行こうと外に出る。驚いたことに、まだたいして遅い時間じゃないのに、ホテルのスタバは閉まっていた。すぐそばの別の店に入り、迎えを待つ。
3月26日(木) 朝、ダウンタウンの北の端、日本人街まで送ってもらう。車の中から本願寺が見えた。
日本人向けスーパーマーケットがあったので入ってみた。食料品、日用品、キャラクター商品、日本風の置き物。たいがいのものが揃っていた。値段は特別高くもないけど、スーパーにしてはちょっと高め? こういうのがあるんだったら、少なくとも日本食が恋しくてホームシックになるということはなさそう。スーパーマーケットは1階で、他のテナントは和食とか韓国料理とか、食べ物屋が多い。平日の昼間は営業していないところもあるのか、かなり寂れた感じ。本屋があったので入ってみたけれど、日本の本は高かった。日本円の定価が書いてあるものを、それ以上の値段で買いたくはないなぁ。円高でなかったらそれほど高くはなかったのかもしれないけど。危ないことは全然ないけれど、リンクやオフィシャルホテルがある辺りに比べると少しすさんだ雰囲気。
なぜか突然、交番。日本的にはちっとも交番らしくなく、飲食店か何かのようにしか見えない。ロスの日本人街に住む人の、居住年数と年齢をいろいろ考えたら、日本語しか分からない人なんてほとんどいないのではないかと思われるので、これは移民1世の時代の名残りなのかなぁ。私の伯父は3世。日本語は、自由にあやつるとは言い難い。
さらに、なぜか突然、二宮尊徳の銅像。今や日本の小学校にもあるかどうか。割と大きな交差点の歩道に立っている。
日本庭園や寺院があると教えてくれたけれど、あまり興味がなく、どうしても足は店があって賑わっている方に向いてしまう。地図を見ながら歩くのは危なそうなので、方向の見当だけつけて、南西の方向に向かってジグザグと曲がりながら、目に付いた店には片っ端から入る。
アクセサリーやバッグ、化粧品の卸しの店がいっぱい。すごく大量にパックされていて値段が付いていなかったりすると、ちょっと怖じけづいてしまう。化粧品を扱っていた店はそれなりに明るく気さくで、訊いてみようという気になったけど、怖そうなオバサンの店ではさっさと退散。
大阪でいえば、船場センタービルの地上版。小売りしていない店もあり、値段が付いていないということは、その可能性もあるもんね。
歩いているだけで怖いところではなかったけれど、夜は通りたくない。特に市場の奥まったところとか、昼間でも1人では入れないかも。Mリンは服もあれこれ見ていたけれど、サイズがまったく合わない。「子供服の店に行けば?」と本気で言う。
延々歩いて、やっと見覚えのあるところまで来た。昨日、昼間の時間を潰すために寄ったセブンス・フィグの地下でお昼。昨日は人けのなかったビルが、昼休みは座る場所もないぐらい人が溢れていた。バンドの生演奏をやっていて、特に聴いていないように見えて、曲が終わるとしっかり拍手が起こる。でも、やっぱり聴いているようには見えないんだよなぁ。
ご飯を食べて元気を取り戻し、ダウンタウンの北の方にある州立公園に行ってみることにする。その近くにウォルト・ディズニーコンサートホールがあるので、建物だけでも見てこよう。
目的地に向かって歩きながらも、通りがかりの店には片っ端から入ってみる。信号待ちの交差点の向こうに雑貨屋が見えたら、もちろん入る。地下にショッピングセンターがあれば迷わず入る。
寄り道ばかりしながら歩いていると、きれいな公園のような場所があった。可愛らしいタイルの表示。それは公共図書館であった。公園と思ったのは広い前庭で、緩い階段を上って奥に行くと、こじんまりした古い建物。この「こじんまり」は大きな間違いであったことは後で分かった。
図書館なら日本の新聞があるのではないかということになって、中に入ってみるエレベーターの前に案内版があったので、とりあえずそれを見て探そうとしていたら、知らない女性に「何を探しているの?」と声を掛けられた。そして返事もしないうちに、その人は「こっちこっち」と手招きをしてMリンと私を上の階に連れて行った。そこは児童書とコミックスのコーナーだった。いくら日本人が若く見えると言っても、私が子供に見えるはずはないので、きっとMリンが小学生ぐらいだと思われたに違いない。
そのコーナーには『NARUTO』とか『ONE PIECE』とか日本のマンガもあって、けっこう楽しめた。が、探し物は新聞なので、それを探しにまた1階まで戻って、今度はインフォメーションで訊いてみた。新聞はなんと、地下4階にあった。建物の奥側は近代的なビルで地下4階まで吹き抜けになっていて、中央にあるエスカレーターの両側に広い書架と閲覧室があった。新聞の棚はすぐに見つかったけれど、日本のものは見当たらない。日本語の書籍の部屋に行くと、新聞の棚はあったけれど、貸し出し中でそこにいる間には返ってこなかった。
書架の数を見ると、日本語の本は少なくて中国語は多い。ロスの人口がそうなのかな。
新聞が見れなかったので、外に出てまた歩き出したけれど、時間的にも体力的にも力尽き、ホテルのロビーでしばらくへたり込んでから引き返す。寄り道ばかりしていたので、思ったよりずっと北には進んでいなかった。
男子フリー。昨日の席より少し前でほぼ中央。この大会、カメラや荷物の大きさなど、うるさいことを言っていた割には、中に入ると信じられないぐらいユルい。武器さえ持ち込まなければなんでもOKだと言ってもいいぐらいユルい。カメラのフラッシュにもなんの注意もないみたいだし、客席はフードコートのようだ。実際、一般のロビーには食べる場所はないので、席に持ってくるしかないけれど、なんだか緊張感に欠けるんだなぁ。
そのせいかどうか、織田君の順番を待つ間も、いつもほど胃が焼けるような感じはしなかった。枠のためにはかなりギリギリのところにいる。でも、その場にいて、競技を目の前にして、枠のことで頭が一杯になる人なんてきっといない。いちばんは今季ずっと挑み続けた4回転。そしていい演技であること。それができれば枠は勝手についてくる(と思っていた)。
4回転は見事にキマッた。4回転がちゃんとキマれば、3回転は絶対に付けられる。シーズン終盤の世界選手権で、それが実際にキマるのを見たとき、思わず立ち上がりそうになるのをこらえなければならなかった。そして視界がぼやけそうになるのを必死で我慢しなければならなかった。この4分半、SPと合わせても7分半足らずのためだけに来たんだもの。見えない瞬間、覚えていない瞬間があっては勿体ない。後半のアクセル以降は、かなり動転したまま見ることになった。けれど、あの演技を見た、見せてもらえた喜びの前には、コンボのミスも些細なことのように思えた。いい演技=高得点と考えるならば、大きすぎるミスであったかもしれないけれど、高得点=いい演技でないことは、誰もが知っている。
ジャンプの数が足りない、コンボが足りない演技は世の中にはたくさんある。織田君がミスをリカバリーしないでいたら、目立って取り沙汰されることはなかっただろう。でもその代わりに、手に入れられなかったものがたくさんあっただろう。私はリカバリーしようとする織田君が好きだ。
* * * * *
次の朝、起きたら伯母さんがいなかった。しばらくして帰ってきた伯母さんが買ってきてくれたのは朝マック。これに山盛りのイチゴで朝ご飯。いや、すごい量でした。
毎日ダウンタウンまで送り迎えしてもらうのも伯父さんが大変なので、2日間はホテルをとってもらった。行きも路線バスにチャレンジ♪ アナハイムの近くからダウンタウンまで、2ドル45セント。安〜い! 高槻駅から関大のリンクまで210円かかるというのに。運転手さんは女性。なかなかのジェットコースターぶりであった。利用客は多くて市内に近づくにつれてどんどん増える。
バスの行き先が「ダウンタウン」で一体どこに着くのか分からず、オフィシャルホテルの前で降りて、あとは歩くことにした。昨日、散々歩き回ったMリンと私は、通りの名前さえ分かれば、地図を見なくても歩けるようになっていた。15分ほど歩いて、丘の側のホテルにチェックイン。部屋でネットができるように頼んで料金を払い、IDとパスワードをもらう。
ホテルのすぐ側の丘は、小高いという言葉では物足りない丘。避けられるものならば積極的に避けて通りたいほどの急な坂だった。その代わり、外に出ると見晴らしがいい。丘から見下ろす位置に白亜のロサンゼルス市庁舎。そこから反対側に歩くとすぐに、昨日行き着けなかったウォルト・ディズニーコンサートホール。
夜はまた買い物に行き、地元のスーパーを探索。どこかの国のダンスかペアの選手がビールをケースで買っていた。コンビニにはアルコールは置いていないし、スーパーではケースしかなかった。ロスの人はどんなふうにお酒を飲むんだろ? 晩ご飯は「Famima!」で仕入れてホテルの部屋で食べた。
翌日。朝からバスでビバリーセンターに出掛けた。そこからハリウッドに行き、メトロでダウンタウンまで戻って、一旦ホテルに帰る。夕方、女子FSを見にステイプルズセンターへ。当日券を買って、3階席で見た。ガラスの低いフェンスしかなく、最前列でなくてもかなり怖かった。あのフェンスの低さは、上の人も怖いけれど、下にいる人も何か降ってきそうで怖くないだろうか。
オフィシャルホテルで晩ご飯を食べて、そこからブラブラと歩いて泊まっているホテルまで帰った。もう夜のダウンタウンもこれで最後。
バス停に路線も時刻表もなくて、路線番号が書いてあるだけ。大阪の市バスならどこへ行くバスがどこまで近づいているかまで分かるもんなぁ。それが当たり前ではないってことだね。
道端に新聞の自販機がたくさんあったけど、買ってみることはなかった。
水が硬くて髪がキシキシした。シャンプーとか現地で買った方がよかったのかもしれない。
ホテルの近くの市場みたいなところにガムボールマシンがあったので、つい買ってしまった。
エヴァンが優勝したというのに、ろくな放送がなかった。日本が騒ぎ過ぎなのかもしれないな。それか地元選手が優勝しても盛り上がらないほど、アメリカでフィギュアが衰退してる?
メイシーズプラザとセブンス・フィグに何度行ったことか。毎日そこが出発点だった。
観戦に行って、こんなに遊び歩いたのは初めてのことだ。
最後の日にディズニーランドに行って、そこから伯母さんちに帰った。晩ご飯は伯父さんが庭で焼いた照り焼き風のスペアリブ。すごく美味しかった。
翌朝、暗いうちに家を出て空港へ。送り迎えばかりしてもらって大変だったのに「またいらっしゃい」と言ってくれた。来年、また会えるかな。
バナーの裏に預かり証と同じ番号。これも世界選手権の、4回転の記念のひとつ。
初めての世界ジュニアで4回転を跳んでから5年。次は何を見せてくれるか?